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DISC REVIEWS
 管理人の愛聴している円盤あれこれ
AMERICA / Here & Now (2discs) AMERICA / Here & Now (2discs)
(2006/BURGUNDY,SONY BMG/USA)
 70年代に活躍、日本でも「ヴェンチュラ・ハイウェイ」等がヒットしたことでも知られるアメリカの再結成後の初のアルバムが登場。ジャケ裏のクレジットには PRODUCED BY ADAM SCHLESINGER AND JAMES IHA の文字。ファウンティンズ・オブ・ウェイン、スマッシング・パンプキンズと90年代のインディロック牽引してきた二人のサウンド・コンポーザーが大ヴェテランをバックアップ。ちなみに二枚組で、ディスク2は過去の名曲を網羅したライブ盤でこちらも秀逸。曲は以前どこかで聴いた事あった。さて、本編に話を戻そう。これが美メロ&グッド・ハーモニーが満載のアコースティック・ポップ・アルバムで素敵過ぎ。CSN&Yやイーグルス辺りが好きな人だけでなく、FOWのファンやイハのソロが好きな人も、間違いなく気に入るだろう。全曲捨て曲なし。日本人の琴線に触れるようなメロディラインでいい。ライアン・アダムス、ベン・クウェラーに加え、マイ・モーニング・ジャケット、ナダ・サーフ、ファウンテインズ・オブ・ウェインのメンバーらがコラボレーターとして参加。特にアダム・シュレシンジャーは M-6 "Ride On" で共作、M-10 "Work To Do"(すごい名曲ですよ!)を楽曲提供。激マスト。

DANIEL WYLIE / The High Cost Of Happiness DANIEL WYLIE / The High Cost Of Happiness
(2006/Neon Tetra/UK)
 一向に出る気配がない日本盤にしびれを切らし、ダニエル・ワイリーのソロ2作目を輸入盤で買った(のちに3作目であることが判明。05年に "Post Cards" というアルバムを出していました)。素晴らしい。期待を裏切らない仕上がり。コズミック・ラフ・ライダースは彼の脱退で、魅力を半減どころか、3分の1にしてしまったのではないだろうか。そんな風にさえ思ってしまう。つまり、それだけ彼の歌声が聴くものを惹きつけて止まないということ。更に、細かな機微を伝える表現力やソングライティングの巧みさなど、彼の力の大きさをより実感させる充実の新作となっている。基本的には前作の延長線上の作風といえるだろう。よりパーソナルな面が強まった気もするが、人懐っこいポップさはCRR時代と少しも変わらない。むしろ風通しは現在の方がいいくらいだ。彼の歌声・メロディには何らこけおどし的なものはなく、ただただグッド・メロディを紡ぎグッド・ハーモニーを奏でるというスタンスを愚直なまでに貫いている。ジャングリーなギター、天性の陽性の歌声、しかしその裏側には陰影も湛えている。聴けば自然と心がほぐれて優しい気持ちになる、そんな魔法のアルバムだ。全12曲、至福の38分間。

V.A. / Bandwagon V.A. / Bandwagon -original motion picture soundtrack-
(1997/Milan/USA)
 お気に入りのバンドを紹介します。彼らはサーカス・モンキーといって、ノース・カロライナ出身のローカル・バンド4人組。97年のデビューで "It Couldn't Be Ann" という曲が地元で注目され、小規模のツアーに出たこともありました。音はといいますと、ノイジーなギターにポップなメロディで、レモンヘッズあたりの音に近かったと記憶しています…おっと、そろそろ突っ込みを入れたほうがいいかな。これは「バンドワゴン」という映画(notフレッド・アステア)のお話。さて、このサーカス・モンキーの楽曲をはじめ劇伴を手がけたのはグレッグ・ケンドールという人物。80年代にはライフボートとしてアルバムのリリースがあり、90年代にはタックル・ボックスというバンドを率いている(このアルバムにも、そのタックル・ボックスの楽曲も収録されている)。これがもうモロぼく好みのUSインディな音で大好きなのですよ。例えばマージとか、あの辺を思い浮かべるなぁ。この映画、バンドの青春と成長と蹉跌という意味では、トム・ハンクス監督の「すべてをあなたに(That Thing You Do)」に似ているかもしれない。いや、ほろ苦さはこちらの方があるかな。サントラもいいですが映画自体もいいですよ。

COUPLE / Top Of The Pop COUPLE / Top Of The Pop
(2007/Wizzard In Vinyl/Japan)
 こ、これは!? ビッグ・スターかスクラフズか、はたまたティーンエイジ・ファンクラブか。マレーシア出身の4人組オブスキュア・パワーポップ・バンドのデビューアルバム。結成は96年と古く、インナースリーブのディスコグラフィーを見ると、2001年以降はほぼ毎年のようにコンスタントに作品を発表してきているようだ。これが満を持してのデビュー・フルレングス・アルバムとなる。ここ最近レコードショップでは、韓国、台湾、香港に加えて東南アジアのインディバンドのCDがたくさん並ぶようになって、あたかも90年代の渋谷系の様相を思わせるほどだが、全体にネオアコ系が多いような印象があった。が、こんな素敵なパワーポップ・フィーリンなバンドもいたなんて! よくぞWiVさん紹介してくれました。素晴らしい。正直プロダクションの面ではショボショボな部分もあるにはあるが、メロディのよさは超一級といっていい。ちょっとデビュー当時の(ギターポップ・バンドの)プレクトラムみたいな感じもあるなぁ。クラシックなポップ・バンド的なサウンドでありながら、マンドゥ・ディアオやストロークスなどの現在進行形のバンドの音への目配りも忘れない。大好きですね。アートワークもキュートでニ重丸!

LEMONHEADS / ST THE LEMONHEADS / ST
(2006/Vagrant/USA)
 グランジ世代、サブポップ・ファンには懐かしい名前だろう。レモンヘッズの久方ぶりのアルバムが出た。ポール・ウェスターバーグが所属する VAGRANT に移籍しての第一弾。前作 "Car Button Cloth" から何と10年ぶりとなる。あれれ、そんなに経ってたんだ。このアルバムでの共作のクレジットをめぐってノエル・ギャラガーとモメたのが最近のことのような気がする。その後、イヴァン・ダンドゥ名義のソロ、ライブ音源をリリースしていたが、この度バンドを再編。ベースにディセンデンツのカール・アルヴァレズ、ドラムにブラック・フラッグ/ディセンデンツのビル・スティーブンソンを迎えた。セルフタイトルを冠していることからも、並々ならぬ気合を感じさせますね。いや、なかなかいいですよ。大傑作とまでも言わないまでも、復帰作としては素晴らしい出来といえるでしょう。あの頃ぼくらが大好きだったレモンヘッズのサウンドを再現しつつも、それは回顧的なものに終わらず、現在の成熟した音楽性と無理なく調和している。内省的な方向に向かうのではなく、再びバンド・アンサンブルに回帰してくれたのがうれしい。ノリのいいM−3、5、7、9、10あたりがお気に入り。まずは彼の帰還を祝いたい。おかえり、イヴァン!

BEN KWELLER / ST BEN KWELLER / ST
(2006/Aot Records/Sony BMG/USA)
 マジで凄い良いぞ! これは彼の、おそらく現時点での最高傑作といって間違いないだろう。カルフォルニア州サンフランシスコ出身で、現在はニューヨークのブルックリンをベースに活動しているSSWの3作目。ソロ 1st アルバム "Sha Sha" の頃の雑多なインディポップ然とした音とはずいぶん離れてしまったが、例えばエミット・ローズとかポール・ウィリアムスとかといった上質なポップSSWの系譜に連なりそうな、素晴らしい「うた」のアルバムとなっている。全11曲捨て曲一切なしで、心奥に届く涙腺直撃の珠玉のメロディが詰まっている。グッときまくり。前作は正直乗り切れないところもあったが、このアルバムは文句なく素晴らしい。大げさかもしれないが、名盤誕生の瞬間に立ち会えたようで、ちょっと感動的ですらある。初のセルフタイトル・アルバムでもあるので、ベン本人も気に入っている作品なのだろう。なお、今回初めて、全ての楽器・パートをベンひとりで手がけたという。その力の入りようが伝わってくる話だが、音自体にはそんな気負いは全く感じられない。いつも以上にリラックスしたものだ。おそらく10年後20年後にも、引っぱり出しては飽きずに繰り返し聴きつづける、一生モノのアルバムになるだろう。耳の肥えた大人のロックファン、あるいは若い女の子にも聴いて欲しいな。大スイセン。

THE MOTORETTES / ST THE MOTORETTES / ST
(2006/Kitchenware Records/UK)
 イギリスの東北部の町タインマウス出身の3人組のデビューアルバム。なおメンバーのジャックとジェドは兄弟とのこと。06年春ごろリリースされたデビューシングル "Super Heartbeats"(M-1に収録)は近頃稀に見る爆裂疾走チューンで、毎月のようにクラブで頻繁にプレイされていた。ぼくも大のお気に入りのナンバーで、ジャッ、ジャッ、ジャッ、ジャッーン♪のイントロがかかるとウキャーと狂ってフロアーに飛び出して行っていた。そんな彼らが満を持してアルバムをリリース。タイトルは“★”H?!!!…あのー読めないんですけど(笑) 期待を裏切らずというか、どこをどう切ってもモータレッツ節というか、アホアホで痛快な疾走チューンが詰まった全12曲。捨て曲一切なしの最高のパーティーアルバム。パンキッシュなパワポ好き、ギタポ好きのみんなのツボおさえまくり。いやはや、よく分かっていらっしゃいます。脱帽。例えるならば INTER meets SNUG みたいな感じかしらん。彼らはラモーンズにビーチ・ボーイズ、ロネッツやシュレルズなどのガールズ・グループにインスパイアされたとか。こういう音が今のイギリスから出てきたのが意外と言うか、嬉しい驚きですね。モダンパワーポップ・ファンは激マスト(オア・ダイ!)。

THE FORMAT / Dog Problems THE FORMAT / Dog Problems
(2006/The Vanity Label/USA)
 アリゾナ州ピオリア出身の6人組バンドの2作目。1st アルバム "Interventions and Lullabies"(03年)収録のハンドクラップ炸裂ナンバー "First Single" のクラブヒットも記憶に新しい彼らだが、このアルバムより遂に日本盤もリリース。本邦デビューとなった。プロデュースにレッドクロスのスティーブン・マクドナルド、オーケストラ・アレンジメントにロジャー・マニングを迎え、クイーンやジェリーフィッシュを思わせる豪奢なオーケストル・パワーポップを展開している。インディポップ/エモ然とした前作と比べ、あまりの音の変わりようにビックリしてしまった。これが当初から彼らがやりたかった音楽なのか、それともバンドの志向に大きな方向転換があったのか。そうならば、この方向転換は見事に吉と出たといえる。全12曲それぞれ独立した曲としてシングルカット可能なほどクオリティを保ちながら、アルバムを通してコンセプチュアルな印象で、その完成度は高い。もちろん "First Single" を彷彿とさせるキャッチーなチューンも多いので 1st のファンも大満足だろう。Nate Ruesso のファルセットを生かした特徴的なボーカルは、楽曲のもつ複雑な機微を描き出し最高にエモーショナル。文句なし年間ベスト級の大傑作だ。

HEAD AUTOMATICA / Popaganda HEAD AUTOMATICA / Popaganda
(2006/Warner Bros./USA)
 元グラスジョーのダリル・パルンボのユニットの2作目。もともとダン・ジ・オートメーター(exDrオクタゴン、ゴリラズ)とダリルの二人のユニットだったのが、本作制作前にダンが脱退。新たに4人のメンバーを迎え、純然たるバンドとして再スタートを切ったらしい。前作がどんな音だったのか未聴のため知らないが、ダンの参加ということで、ヒップホップあるいはエレクトロニカ的要素があったのかもしれない。しかし、本作を聴く限り最初に思ったのが、ニック・ロウ〜ロックパイル〜初期エルヴィス・コステロ路線の最新型モダン・パワーポップ・ヴァージョンということ。これが素晴らしいのよ。シンプルで力強いメロディライン、甘いボーカル、コーラス、キャッチーなギターリフ、バンドアンサンブルいずれも最高。ルビナーズやシューズ、プリムソウルズのような70年代後半のクラシック・パワーポップ好きはもちろん、FOWやウィーザーあたりのモダンパワーポップ・ファンも大いに気に入りそう。激オススメです。まずはオープニング・ナンバーでシングルカットもされた "Graduation Day" を聴いてぶっ飛んで下さい。生まれながらにして早くもパワーポップ・クラシックたる風格漂う名曲となっています。

LINUS OF HOLLYWOOD / Triangle LINUS OF HOLLYWOOD / Triangle
(2006/Philter/Japan)
 ひとりビーチ・ボーイズというか、ひとりゾンビーズというか、ひとりレフトバンクというか、ひとりミレニウムというか、ひとりジェリーフィッシュというか、ひとりワンダーミンツというか、もうとにかく夢見心地なポップソングを書かせたら天下一品のライナス・オブ・ハリウッドことケヴィン・ドットソン。待望のニューアルバム「トライアングル」が日米同時発売。考えてみたら、これでまだ3枚目なんだね。ビックリ。もっと出している印象があるのは、プロデュースやゲスト参加など多彩な課外活動のせいだろう。最近では木村カエラちゃんにも曲、書いてたし。今回もまた純度の高いポップ・ソングが満載で期待を裏切りません。70年代のSSW群やA&Mレコードに代表されるアメリカン・ポップスを彷彿とさせる、心奥に届く「うた」たち。派手さこそないが、キラキラと瑞々しいメロディの数々は、繰り返し聴くことで更に味わいが増してくる。流麗なストリングス・アレンジや、ピアノの跳ねるようなコードバッキングは、主役であるメロディにピッタリ寄り添い、控え目ながらそっと盛り上げている。日本盤のみボーナストラック2曲追加。そのうち1曲 "Run To Me" はビージーズの秀逸カバー! これを聴くためにも日本盤の購入をお薦めします。

CADDY / Go Slow CADDY / Go Slow
(2006/Wizzard In Vinyl/Japan)
 ノルウェーのパワーポップ/ギターポップ/メロディックパンクなバンド THE YUM YUMS のメンバー(Dr) Tomas Dahl が CADDY 名義でソロを出した。リリースは Wizzard In Vinyl から。マルチ・インストルメンタリストである彼は、ヴォーカル・ギター・ベース・ドラムと、ほぼ独力でこのアルバムを作り上げたようだ。とはいえ密室的な要素は皆無で、痛快なバンド・サウンドを聴かせてくれる。ひっさびさに熱くなる疾走チューンの連打に即ノックアウトされてしまった。激オススメ。とりあえず YUM YUMSファンなら迷わず買っとけ!みたいな。まぁ、YUM YUMS の音とどこが違うんだい?と言われればそうなんだけど、よりロックな感じが強まった印象ですね。終始ギターが唸り、鳴きまくっててカッチョイイ。でもメロディはめちゃめちゃキャッチーだし、ボーカル&コーラス(美麗!)はあくまで爽やかなので全然暑苦しくならない。これは稀有な資質だと思う。MySpace で本人は CADDY でのサウンドをこう自ら評している…"Inspired by pop-veterans such as Lemonheads, Teenage Fanclub and even Bryan Adams (!), mixed together with Kiss from the 80`s and the beautiful harmonies of Brian Wilson" ぶはははは。最高。これで良くないわけないじゃん! ツボ押さえられまくりです。

THE SPEEDS / Sing It Loud THE SPEEDS / Sing It Loud
(2006/Kool Kat Musik/USA)
 ペンシルヴァニア州ピッツバーグ出身の3人組の 1st フルレングスアルバム。これ以前にEPを2枚リリースしているらしいが、そちらは残念ながら未聴。ジャケット写真を見るとソリッドなロックンロール・バンドかガレージパンク・バンドのそれを連想させる。もちろんその要素はあるにはあるのだが、あくまで本質は、キャッチーなメロディがひたすら心地よいパワーポップ! ファラーやTSAR、スーパーグラス、シャザム、ジェリーブリックス、はたまたチープ・トリックなどを彷彿とさせるアップリフティングなナンバーの数々は、パワポ好き全てのハートをガッチリ掴んで離さないだろう。クラシカルなブリテッシュ・ロック風味もあるのでUKロック好きも気に入るかも。ラッドなボーカルスタイルはどこかオアシスのリアムを思わせたりもする。メンバーは影響を受けたバンドとして、キンクス、クラッシュ、コステロ、ストーンズなど大御所とともに、ウィーザー、ブラー、オアシス、ストロークス、ピクシーズ、キラーズなどの現代的なバンドも同時に挙げており、その辺の絶妙なバランス感覚が彼らの人懐っこさの要因なのかもしれない。全10曲30分弱というランニングタイムも、少し物足りなさを感じさせつつも、いさぎよくてよい。
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