NEW IN

MARTIN LUTHER LENNON / Redux MARTIN LUTHER LENNON / Redux
(2005/Rock Indiana/Spain)
 マーティン・ルーサー・レノン(キング牧師+ジョン・レノン)という人を食ったようなステージ・ネームを持つ、LAをベースに活動するパワーポップ系シンガーソングライター=トニー・パーキンス。彼は90年代中期にLAポップシーンを盛り上げたフェスティバル「ポップトピア」を開催するなどシーンの顔役的存在でもあったが、00年以降は長らく沈黙を続けている。これは彼のオリジナル・アルバム2枚からコンパイルしたベスト盤。ノットレイムからリリースされたアルバムは2枚とも既に廃盤となっており現在では入手困難。なので、この発売はうれしい。これを機会に、是非たくさんの人に彼のハイエナジー・ポップ・チューンに触れて欲しいと思う。ポップパンク/アノラック・テイストの 1st "Music For A World Without Limitations" から M-3、M-4、M-8、M-9、M-10、M-12 の6曲。前作の延長線上の痛快ポップパンク・チューンに加え幅広いタイプの楽曲を集めた 2nd "Escape To Paradox Island" からは M-1、M-2、M-5、M-6、M-7、M-11 の6曲。M-13〜15の3曲は未発表曲(新曲か?)という構成。Sympophony #1 に収録の大名曲 "I Own the World" が未収なのが残念だが、入門編としては最適の一枚でしょう。未聴の人は激マスト・オア・ダイ!

THE INNOCENTS / Pop Factory THE INNOCENTS / Pop Factory
(2006/Wizzard In Vinyl/Japan)
 06年6月9日、ロックの日。雨上がりの新宿。ヴェニューは紅布=レッド・クロス。彼らの登場を、そして熱狂の時を、今か今かと待ち焦がれていた…。オーストラリアのレジェンダリー・パワーポップ・バンドのリユニオン後、初アルバム。結成は80年。1st シングル "Sooner Or Later" は後にパワーポップ・アンセムとして人気を博すことになるが、当時はまだ知られざる存在だった。01年に豪 ZIP レーベルより、前身バンド BEATHOVEN の音源と合わせ2枚組でリイシュー("No Hit Wonders From Down-Under" 当サイトでもレビュー済)。その素晴らしい音楽性を広く知られるようになった。そのリリースに合わせ、00年に再結成。06年、遂に新作アルバムをリリース! これが文句なしの大傑作。20年の沈黙がこの作品の為の熟成の時だったと思われるほど。ルビナーズ、フラッシュキューブスを思わせる美メロ&コーラス、メロディのキャッチーさ、いずれも極上。捨て曲なし…つうか全曲マスターピース。激マスト。さて、ライブは素晴らしいものでした。音源と寸分変わらぬ美声&美コーラスで至福の時を過ごしました。メンバー全員、いずれも素晴らしい声の持ち主で驚き!

THE SUNSHINE / Love THE SUNSHINE / Love
(2006/Vinyl Junkie/Japan)
 スウェーデンはストックホルム出身の5人組のデビュー作。本国では05年9月に発売されたばかりだが、彼らの曲(M-5 "Love")がヨーロッパ全土のコカコーラのCMに起用されたという話題性もあってか日本のインディ・レーベル Vinyl Junkie がライセンスし、06年3月には早々に日本盤が出た。これがハッピーなエネルギーに満ち満ちた、楽しいポップ・アルバムで素敵なのだ。上手い表現ではないけど、ガレージロック・テイスト・60sフレイヴァー・バブルガム・ポップロックとでも言ったらいいだろうか。パワポ・ファン、ギタポ・ファンはもちろん、60sなどのオールド・ポップ好きにも大いにウケるだろう。この21世紀に、この音を確信をもって鳴らせるというのが、何とも素晴らしいじゃないか。たぶん例えとして出されるのが多いのが、同郷のシーザーズやハイヴスなんだろうけど、ぼくが聴いていて連想したのは、何とブラーだった。それも、モダン・ライフ・イズ・ラビッシュ〜パークライフ期のブラー。ビンテージ感あふれるアナログな音づくりに、キャッチー過ぎる歌メロ、ボーカルのクセのある歌い方や、バックでポロンポロンと鳴るヘタウマ・キーボードの音色にも、どこかブラーを感じさせるものがある。

Sid n Susie / Under The Covers Vol.1 MATTHEW SWEET AND SUSANNA HOFFS (Sid n Susie) / Under The Covers Vol.1
(2006/Shout Factory/USA)
 ジャケットの表記はマシュー・スウィート・アンド・スザンナ・ホフスとなっているが、ディスク盤やスリーブの表記は全てシドとスージーになっているから、こちらが本来のアーティスト名なのだろう。ちなみにスージーはもちろんスザンナのことであり、シドはマシューのことである。マシューの本名はシドニー・マシュー・スウィートというのだ。彼ら二人に大きな影響を与えた60年代のフェイバリッツを集めた趣向のカバー集。第一弾と銘打たれているから続編もあるのだろう。期待したい。さて、本作。収録されているのはビートルズ、ボブ・ディラン、ニール・ヤング、ラヴ、ビーチ・ボーイズ、フー、ヴェルヴェッツ、ゾンビーズ、ママス・アンド・パパス、レフト・バンク、ビージーズと誰もが納得のポップ・ジェムばかり。割と素直な、原曲の沿ったアレンジのカバーが多い。奇をてらっていないからこそ、二人の歌声&コーラスハーモニーの美しさが際立っている。上手いわ、ほんと。うっとり。もちろんバックの演奏も素晴らしい。ドラムのリック・メンク、ギターのリチャード・ロイドというお馴染みの面々に加え、ヴァン・ダイク・パークス伯父も2曲参加(スリーブのコメントも!)。激マスト。

ROCK CITY / ST ROCK CITY / ST
(2003/Lucky Seven Records/USA)
 素晴らしい発掘だ! 伝説的パワーポップ・バンド・ビッグスター結成以前にクリス・ベルが在籍していたバンドの未発表音源集。69〜70年にアーデント・スタジオに残したセッションで、当時のエンジニア・テリー・マニングが私蔵していたテープが30年の時を超えて陽の目を見ることになった。いわばプレ・ビッグスターとも言うべき充実した内容で、ビッグスターの 1st "#1 Records" に入っていてもおかしくない楽曲ばかり。事実、M-4 "My Life Is Right" M-11 "Try Again" はビッグスターでもセルフ・カバーしている。ここでロックシティのメンバーを挙げておこう。クリス・ベル(g/vo)、トーマス・ディーン・ユーバンクス(b)、ジョディ・スティーブンス(ds)、テリー・マニング(p)。2分の1、ビッグ・スターである。この時点では、まだアレックス・チルトンはいない。ボックス・トップスを経たアレックスが、クリスと初めて出会うのが、本作にも収録されているアイスウォーター名義の "Feel" である。言うまでも無くビッグスターとして後に再録音される、あの名曲だ。ファンなら文句無くマストでしょう。テリー・マニングによる長文のライナーが読み応えあるし、リマスタリングもクリアーで超感動。

MONTANA / Starsigh:Tarantula MONTANA / Starsigh:Tarantula
(2005/Rock Indiana/Spain)
 オーストラリア・シドニー出身バンドの待望の2作目。ファラーに参加していたベースのミッシェルは正式に脱退し、今回新たにメンバーを二人迎え、4人組として再スタート。そうして本作は作られたようだ。前作 "Bubblegum Love" リリース後、精力的に英国、スペイン、米国でのツアーを敢行。そこで確かな手応えを得たようで、目を見張るほどの成長した姿を見せてくれる。彼らの持ち味である、元気いっぱいでバブルガム・テイストをも感じさせるポップなメロディーは更に磨きがかかり、前作にはなかった哀愁すらも感じさせもする。サウンドは古典的なパワポ・フィーリングのギターサウンドに加え、打ち込みも交えた浮遊感あふれる80sニュー・ウェービィな曲もあり、その表現の幅を広げている。その実力はファウンテインズ・オブ・ウェインにも肩を並べつつある。そう、本作を聴いてまず思い起こしたのはFOWだった。さまざまなタイプの曲をものにしながら、芯であるメロディは一切ブレないので、衒学的にならない。つまり、彼らの音楽として鳴っている。モンタナは早くもこの2作目でその境地に到達している。文句なし大傑作。激マスト。

SHOUT OUT LOUDS / Howl Howl Gaff Gaff SHOUT OUT LOUDS / Howl Howl Gaff Gaff
(2005/Capital Records/USA)
 ストロークス・ミーツ・レンタルズ!? 本作の1曲目 "The Comeback" を聴いた瞬間、そんなことを思ってしまった。北欧から、飛び切り面白い音を聴かせるインディ・バンドが登場。さぁ、ハンドクラップで盛大に迎えよう。スウェーデンはストックホルム出身の5人組。メンバー同士は互いに幼なじみという。結成は01年、数枚のEPを経てリリースされた本作は、彼らのデビュー・フルアルバムである。本国でのオリジナル・リリースは03年で、その後05年にUSキャピトルからライセンスされ世界デビューを果たした。そのサウンドはヒネリの効いたセンスで彩られ、メロディーはハイエナジーかつウルトラポップ、そんでもって何ともいえないファニーさキュートさもある。バンド名から呼び起こされるイメージとはまるっきり正反対のようでもあり、またある意味では的確に現しているようでもある。その魅力はひとことで言えないぐらい多面的だ。全曲良いが、特にオススメはシングル曲でもある M-1 "The Comeback"、M-7 "100゜"、M-9 "Hurry Up Let's Go" でしょうか。激マスト。

THE PERMS / Better Days THE PERMS / Better Days
(2005/Hugtight Records/Canada)
 カナダはマニトバ州ウイニペグ出身の4人組の、これは3枚目のアルバムになるらしい。ぼくはこの作品で初めて彼らの音を聴きました。そのサウンドはといいますと、エルビス・コステロ+スローンといいましょうか、モダン・パワーポップとビンデージなパワーポップの融合といいましょうか。まぁ、そんな小難しい形容はいらないですね。ソフルフルな男気あふれるボーカル(でも、そんなに暑苦しくないですヨ)に、メンフィス・ホーンズみたいなホーン隊が全曲に絡むという、何ともかっこいいパワーポップなんです。何々っぽいという的確な例えが思い浮かばないのですが、ぼくが一聴した感じでは、前述のコステロやロックパイルあたりを想起しました。オススメは M-1、M-2、M-3、M-6。他の曲もいいですよ。ちなみに、彼らの前アルバム("Clark Drive")のシングル "Song For D" は、何故か海を越えたUKマンチェスターの放送局でローカル・ヒットしたんだとか。この曲はネット試聴したんだけど、確かにモッドぽくてカッチョイイわ。往時のオーシャン・カラー・シーンぽい感じもする。こちらのアルバムも機会があれば聴いてみたいですね。

SPIRALING / Transmitter SPIRALING / Transmitter
(2002/Brizmuzik/USA)
 鍵盤パワーポップの新星現る! パワポ・パンク関係のリリースで定評がある EGGING からのディストリビューション。日本盤のオビにはカタカナで「スピレーリング」と表記があるけど、この綴りなら「スパイラリング」じゃないかなぁ。このバンドのキモとなっている楽器は、全編に渡ってニュー・ウェーヴィに鳴りまくるピアノ/キーボード。フロントマンであり、シンガー/ソングライターであり、全ての鍵盤を操り、プロデュースも手がけるトム・ブリスリンは、YES や MEATLOAF といったビックバンドでキーボーディストとして活動した経歴の持ち主らしい。というと、メジャー感たっぷりの大味なサウンドを思い浮かべるかもしれないが、歌とのバランスを計算されつくして丁寧に作りこまれたそれは、例えば JASON FALKNER やBRENDAN BENSON などのポップ系SSWに通じるものがある。時に明るく伸びやかで、時に哀愁を感じさせるトムのボーカルも好感度大。疾走系もあれば、しっとり歌いあがる曲もあるといった具合に収録曲はバラエティに富み、しかも捨て曲なし。おすすめ。ちなみに彼ら、05年ノットレイムからリリースされた THE CARS のトリビュート盤にも参加しています。

THE SPINTO BAND / Nice And Nicely Done THE SPINTO BAND / Nice And Nicely Done
(2005/bar none records/US)
 デラウエア州ウィルミントン出身の7人組バンド。96年にニック・クリルを中心に結成、バンド名はニックの祖父であるギター奏者ロイ・スピントから取った模様。これまで2枚の作品をネットでリリースし、これはそれらの楽曲(+新曲)を集めたコンピレーション・アルバム。当初インディで発売されたが、翌年メジャーからライセンスされ再リリースされた。とびきりポップでありながらヒネリの効いたセンスが最高で、全11曲(10曲分のクレジットしかないが "Japan Is Island" なる隠しトラックあり)恐るべき強度を持ったチューンばかり。聴いててふるふる心の震えが止まりません。疾走系もあれば、泣きの美曲もある。最初の印象としてはちょっとニュー・ポルノグラファーズの初期を思い出した。欧米のレビューではペイヴメント、ヨ・ラ・テンゴ、フレーミング・リップスを引き合いに紹介されているようだ。うむむ、なるほど。全インディ・ポップ好きはマストバイ!の大傑作。オススメです。特に M-1、M-3、M-4 は大名曲なので必聴ですよ。

THE HIGHER ELEVATIONS / Always The Same THE HIGHER ELEVATIONS / Always The Same
(2005/Little Teddy/Germany)
 北欧から最高にかっこいいモッド・スタイル・パワーポップ・バンドが登場! 01年結成、スウェーデンはストックホルム出身の4人組のデビューアルバム。ドイツの Little Teddy からのリリース。例えばUKの THE ORDINARY BOY や THE WALNUT DASH、あるいは同郷の THE CARNATIONS などのバンドが好きな人にはドンピシャのサウンドでしょう。こういうタイプのバンドにありがちな性急一辺倒ではなく、さまざまなタイプの曲が揃っている。まさに緩急自在。うたメロがくっきりしているので、スケールの大きさも感じさせる。男らしさを感じさせつつも、マッチョになり過ぎないさじ加減も絶妙でいい。モッド好き、パワーポップ好きだけでなく、80〜90年代のUKインディロック好きにも聴いて欲しいバンドですね。全曲良いのですが、お薦めはシングル曲にもなった M-1 "There Is A Town" (スケール感が最高!)、M-7 "Just Like Juliet" (バックでグルーヴィに鳴りまくるハモンドがかっこいい!)、M-11 "Perfect Day" (疾走感がグッド!)などでしょうか。

POP IS ART / ...In The Biginning... POP IS ART / ...In The Biginning...
(2002/Self Released/USA)
 Bliss、New Religion、The Insiders (いずれも未聴…)などで活躍するコンポーザー、スコット・マッギンレイのよるソロ・プロジェクトの 1st アルバム。オリジナルは02年のリリースだが、ジャケットを新装して再リリースされた。全てのソングライティング、歌唱だけでなく、演奏もほぼ彼ひとりでこなしている模様。非常に完成度の高いポップ・アルバムで、オープニング・ナンバーの "Baby He Loves You" から聴く者の胸倉をガッチリ掴んで離さない感涙チューンがたっぷり17曲収録。明るく爽やかで、溌剌とした分かりやすい曲が多く、パワーポップ好き、ギターポップ好き、アメリカン・ポップ/ロック好き全てにオールラウンドにオススメできます。聴いていると、マシュー・スウィート、ヴェルヴェット・クラッシュ、クラウド・イレヴンなどのモダン・パワーポップ勢から、80年代アメリカン商業ポップ、ラズベリーズ、ルビナーズなどの70年代クラシック・パワーポップ勢、はたまたビートルズやビーチ・ボーイズまでが次々と頭に浮かんできます。聴けば大感動すること間違いなしの名盤。
追記: これは Bliss、New Religion、The Insiders で発表した楽曲を集めたコンピレーション的なものだそうだ。

CHAMPAGNE / Ready, Steady, Go! CHAMPAGNE / Ready, Steady, Go!
(2005/Rock Indiana/Spain)
 ファウンテインズ・オブ・ウェインの好敵手となりうるような新進バンドがスペインより登場! スペインはマドリッド出身の4人組の 1st フルアルバム(これ以前にシングルやミニアルバムを3枚リリースしているらしい)。リリースはスペインの良心的パワポ/ギタポ・レーベル Rock Indiana から。モダン・パワーポップ好き、ギターポップ好き、双方のハートを打ち抜くに十分な、完璧といっていいほど素晴らしいポップ・チューンが満載。すごい!すごい!全12曲、捨て曲が全く見当たらない。その、雲ひとつない青空のような瑞々しいメロディと、駆け抜ける薫風のような爽やかなボーカル、シンプルながらもバッチリ決まったコーラスワーク、疾走感溢れるバンド・サウンド、全てが二重丸をつけられる。前述のFOWのほか、トミー・キーン、TFC、グラス・ショウ、アッシュ、ファラー、シルヴァー・サン、Tsar あたりが好きな人なら、ストライクど真ん中。これさえあれば、ご飯何杯でもいける(笑)でしょう。スペインのバンドですが全て英語で歌っていますので、英米のインディ・ファンにも是非手に取ってもらいたい。マスト・オア・ダイの激推奨盤!

THE BOOSTARS / About A Boy THE BOOSTARS/ About A Boy
(2005/Favourite/Japan)
 元 exellent. / rockshop の上村憲功氏が立ち上げた新レーベル FAVOURITE から、THE BOOSTARS の初フルアルバムがリリースされた。これが同レーベルの記念すべき1番となる。 その船出に相応しい、素晴らしい作品を届けてくれた。例えるなら、アーチ、サニーデイ・サービス、ノーザン・ブライト辺りを彷彿とさせるような日本語ポップ/ロック。エヴァーグリーンなメロディといい、決してクサくならないナチュラルな日本語詞のセンスといい、80〜90年代UKインディ・ロックへの憧憬を素直に消化したサウンドメイクといい、ひとつ飛びぬけたものを感じさせる。THE BOOSTARS のライブは一昨年のチャーチルズのサポートで一度だけ観ている。その時はバンド形態だったと思うけど、その頃とはずいぶん違う印象を受けた。現在は Ken Tanigawa 氏のソロ・プロジェクトという。どちらかと言えば、このアルバムの音が好きですね。マルチ・インストルメンタリストらしい密室的な緻密な一面と、バンド・ライクな解放的な一面が絶妙なバランスを保っている。オススメ。エクストラ・トラックではTFCの "Everything Flows" をカバー。かっこいい。

THE WELLINGTONS / Keeping Up With... THE WELLINGTONS / Keeping Up With...
(2005/Self Released/Australia)
 オーストラリアはメルボルン出身の男2女2の4人組バンド、ウェリントンズのデビュー・アルバム。パワーポップと(アノラックな)ギターポップの中間を行くような、爽やかで元気いっぱいのジャングリーなギター・ロックを聴かせてくれる。なんでもザック(Vo & G)とケイト(B)の二人は、かつてミニ・アルバム一枚だけで解散した SARAH SARAH の元メンバーという。へえ! そう思って改めて聴きなおしてみると、なるほどコーラスやスキャット、メロディーラインにその痕跡が感じ取れる。SARAH SARAH はパパパ・コーラスが軽快なキュートなバンドで、ここ日本のギターポップ界隈でも一時話題になったから、このニュー・バンドもきっと人気者になるだろう。エルヴィス・コステロ、ベン・フォールズ、ウイーザー、ファウンテインズ・オブ・ウェイン、ゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツなどの偉大な先達を思わせる諸要素に、彼らならではのキュートな魅力をメルティング&シュガーコーティングしたウルトラポップ・チューンが全10曲。捨て曲なし。聴けばニコニコ笑顔になってしまうだろう。そう、あなたの好きなサウンドです。大スイセン!

SETH SWIRSKY / Instant Pleasure SETH SWIRSKY / Instant Pleasure
(2004/Self Released/USA)
 コネチカット州ニュー・ヘイブン出身SSWの驚異のデビュー作。新人とはいえ、その音楽キャリアは長い。ニューヨークに拠点を移してからは Chappell Music Company という音楽出版社の専属作詞作曲家となり、数多くのグループに曲を提供してきたという。エア・サプライに提供した曲 "After All" が彼のプロとしてのデビュー(83年)となった。以来裏方として20年近く実績を重ねた後、結婚してからLAに移り、自らのための曲を書き始めたというから、満を持してのソロ・キャリアのスタートといえるだろう。そしてリリースされた、このアルバムは00年代を代表する名盤となる可能性を秘めている。エヴァーグリーンな完璧なジェントル・ポップが11曲、いずれも名曲といっていい位まばゆい輝きに満ちている。優しい歌声と心の琴線に触れまくる温かいメロディーが、至福の時間を紡ぎ出す。30分ほど演奏が終わると再びプレイボタンを押してしまうことだろう。アンディ・スターマー(ジェリーフィッシュ)、ダニー・ワイルド(レンブランツ)、ジョン・フィールド(BLEU)らそうそうたる面々がゲスト参加。文句なし大スイセン!

STARLING / Sustainer STARLING / Sustainer
(2000/Time Bomb/Japan)
 カナダ・オタワ出身の4人組バンドの2000年リリースのデビュー・アルバム。大阪のタイム・ボムから。このバンドの名前を知ったのはずいぶん以前のこと。知り合い(=ヒロくん)のサイトで紹介されてて、彼曰く「ファウンテインズ・オブ・ウェイン+ティーンエイジ・ファンクラブ」なパワーポップ・バンドという。それは是非聴いてみたい!と思いつつも何年も忘れていて、昨年になって偶然レコファンにて中古盤を見つけてゲット。ようやく聴くことができた。うん、これはいい。ハイエナジーなアッパー・チューンはそれほどないので派手な印象がないが、ジャカジャカと力強いギターのカッティングに乗ってゆったり歌い上げられるメロディーが、とにかくエモーショナルで胸にグッとくるのだ。特に "Superfrayed"(M-5) と "Louise"(M-7)、"Everything In The World"(M-8) の3曲が素晴らしく、これを聴くためだけでも買う価値はあるだろう。うた心系というと、ちょっと彼らの場合には当てはまらないかもしれないが、サウンドメイキング云々よりも、うたメロのパワー自体が心の奥底に響いてくるバンドだ。

V.A. / Dana & Carl Present THIS IS ROCK'N'ROLL RADIO, VOLUME 1 V.A. / Dana & Carl Present THIS IS ROCK'N'ROLL RADIO, VOLUME 1
(2005/JAM Records/USA)
 こんなラジオ番組が聴いてみたい。そう思わせるのがNYのコミュティ・ラジオ WXXE-FM で毎週日曜日の夜に放送されている "This Is Rock'n'Roll Radio" だ。その番組の内容を再現したオムニバスCDが Jam Records からリリースされた。パーソナリティーを務めるのはダイナ・ボーンとカール・カファレリの二人。カール・カファレリはゴールドマイン・マガジンの編集者として知られ、ぼくもフラッシュキューブズやフィンカーズのライナー等でその名前をよく目にしていた。それまで番組を聴く術もなかったのだが、今回こういう形で聴く事ができた。収録アーティストをざっと挙げてみよう。FLASHCUBES、DM3、LOLAS、ED JAMES、JEREMY、CHRIS RICHARDS、SHAMBLES、JAMIE HOOVER & BILL LLOYD、OOHS、FINKERS、ROOKS、JELLYBRICKS、LISA MYCHOLS、CHRIS VON SNEIDERN、KENNEDYS、PHIL ANGOTTI & THE IDEA、FLORAPOP…などなど、モダン・パワーポップの最前線を聴かせてくれる。